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ALEXA35のカラーマネジメント① LogC4編

ALEXA35がリリースされ、巷で使用されるようになりました。
従来ALEXAから大幅に仕様が変更・進化しており、ALEXA35を理解する為の多くのドキュメントや動画がARRIから紹介されています。

その中でも、主にカラーマネジメントの部分を抜粋・意訳し解釈を加えて紹介したいと思います。

【ダイナミックレンジ】

ALEXA35に採用された新たなセンサー(ALEV-Ⅳ)は、従来のALEV-Ⅲ(14.5stop)より+2.5stopダイナミックレンジが拡張され、17stopと言われています。

ダイナミックレンジの比較
(ハイライトに1.5stop・シャドウ側に1stop拡張された)


【LogC4】

新たなALEX35センサー(ALEV-Ⅳ)の為のLogカーブとして、LogC4が考案されました。(従来ALEXAはLogC3)

このLogC4カーブは、単純比較するとLogC3より見た目が暗くなっています。

これは、拡張されたダイナミックレンジを0-100%信号内に圧縮・収めるために、なりゆきでノーマルも低めの信号にマッピングされただけです。
こうすることで、伸びた分のハイライトを収めています。
上から叩いてるイメージです。

18%グレーのノーマルは、 LogC3:39% に対してLogC4:28%

ARRI False Colorでの色分けはこのようになります。

LogC3とLogC4のARRI False Color表示

暗く見えるLogC4だけど、18%グレーのグリーンゾーンは同じように配置されています。

波形は違えど同じ18%グレーのグリーン表示


LogC3と4をそのまま画像比較しても、やはりLogC4は暗いけれども、Rec.709 LUTを適用すると明るさは同じになります。

LogC4をそのまま見るとLogC3より暗いですが
Rec.709 LUTを介して見れば明るさは同じです。

これは、ARRI LogC4 to Rec.709のLUTが、従来のARRI LogC3 to Rec.709より明るく補正したガンマカーブであること意味します。

LogC3とLogC4 to Rec.709LUTのカーブの比較

ノーマルがシャドウ側にシフトした分だけSNもイマイチな領域になり、
そこを従来709と同じ明るさに持ち上げているので、ALEXA35 Rec.709は従来より増感され、暗部ノイズが増している可能性があります。


【ARRI配布の比較画像】

ARRIが配布しているALEXA35とALEXA MINI LFの比較サンプル素材で確認してみましょう。

ALEXA35 (ARRI LogC4 to Rec.709 LUT適用)
ALEXA MINI LF (ARRI LogC3 to Rec.709 LUT適用)
一応、両素材のカメラデータの比較(感度800・シャッター1/50は同じ)

チャート部分だけをピクセル等倍表示にして、比較。

ALEXA35
ALEXA MINI LF

ノーマルグレーを見ると、やはり僅かにALEXA35の方が偽色が多く感じられますが、微差といえば微差。そこまで気にする必要はなさそうです。

ちなみに、
ダイナミックレンジが広がった分、色ビット深度(色の数)が12→13bitのARRIRAWに仕様変更されています。

色数が増えた分、暗部SNの改善もあるのかもしれません。

ARRIRAW 13bit

13bitになった分、ビットレートが上がっているので、従来ALEXA LF OpenGate(4.5K)と大差ない解像度(4.6K)ですが、データ量も増加しました。

・ALEXA MINI LF 4.5K OpenGate  : 3875Mbps【1TB 32分】
ALEXA35 4.6K OpenGate          : 4458Mbps【1TB 28分】

参考までに、
Venice2_8.6K 3:2 X-OCN ST          : 3658Mbps【1TB 34分】
※実は、解像度が倍近い8.6KもあるVenice2の方が軽いんです。


【参照ドキュメント】

ARRI DynamicRange


by KOGAMI