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超絶安定するTeradek Boltセッティング

撮影現場では『飛ばし』でお馴染み、SDIワイヤレストランスミッターの定番といえば、Teardek社のBoltです。

出典:Teradek

有線ケーブルをひく手間が省けるし、遅延もゼロ。
昨今、「飛ばし」がない現場が無いくらい多用されています。

が、近距離にも関わらず、全然飛んでくれないケースもあります。
(周辺環境の問題の時もありますが)

  • "No Link"になったまま、復活しない。

  • 一見、画は出ているものの飛ぶ範囲が狭い。


これらは、そもそもカメラ→トランスミッタ(TX)に挿しているケーブルがダメージを受けて、信号が減衰しているケースが実は多いです。

径が小さい1.5Cの同軸ケーブルは、柔らかいので撮影部は好む傾向ですが、その細さ故に外からのダメージにも非常に弱いケーブルです。コネクタの摩耗などによっても信号減衰してしまいます。
「飛ばしの安定」という意味では最悪です。

1.5C同軸ケーブルは安定重視したいなら避けてください!

ぼろぼろの1.5C使っていませんか、、せめて新しいケーブルを!


カメラ→Bolt トランスミッタに挿すケーブルは5Cだと超絶安定!!!


Boltとは、ワイヤレスの分配器といえます。
信号を増幅して出力する機能(リクロッカー)は内蔵していません。
つまり、
トランスミッタの入力信号の減衰がそのまま飛び具合に影響します。

■ トランスミッタに挿す同軸ケーブルを5Cにすることで、信号の減衰が抑えられ、安定します。

飛びの範囲も本来のパフォーマンスを発揮します!!!

※機材屋に5Cのショートケーブルはあまりないので、自分で作るか、買う。
5Cではないけど、12G・4K対応を謳っているケーブルは、減衰量が抑えられているので、おすすめです。

※L字を使いたい時は、せめてBNCケーブルと同じ"75Ω"のL字を使う。
大体使われているL字は50Ωだから要注意。
TOMOCA ( トモカ )BNC-LPJ 75Ω

※1.5C自体がとんでもなく信号減衰するわけではありませんが、実際のCM撮影現場では1.5Cケーブルが原因のことが多いと実感しています!

出典:カナレ電気
1.5Cと5Cの減衰量の比較


【チャンネル固定】でマルチカメラでも超絶安定

マルチカメラでBoltを使うと混線してしまい、リンクすらできないケースがあります。

周波数チャンネルを固定にすることで、超絶安定します!!

※リンクは最初だけ時間かかるけど、覚えたら2回目以降は高速リンク。
※カメラも人も大勢いるのに、途切れず安定。効果絶大です。

"Channel Selection"で、見に行くチャンネルを固定にする。

この中のどれかひとつだけにチェック入れて、他は全部チェック外す

  • 5190 MHz

  • 5230 MHz

  • 5270 MHz (DFS)

  • 5310 MHz (DFS)

  • 5510 MHz (DFS)

  • 5550 MHz (DFS)

  • 5590 MHz (DFS)

  • 5630 MHz (DFS)

  • 5670 MHz (DFS)

※DFS(Dynamic Frequency Selection)
とは、気象レーダーと干渉したら適宜解放する専用のチャンネル。
屋外ロケ(屋内でも窓際とか)なら、DFSのチャンネルを選択すべし

【注意】
◯最初だけリンクに時間がかかります。
◯別班のBoltが同空間にあると干渉してリンクできません。
◯複数Boltがあっても、ひとつずつ電源入れてリンクしていくことが大事。
◯レシーバー内蔵モニターにはチャンネル固定の設定はできません。


【Bolt5台での実戦】

5カメ5台のBolt (Bolt3000 x1、Bolt1000XT x4)を、
5190 / 5270 / 5510 / 5590 / 5670
というふうに、
あえて、チャンネルを1つずつ空けてみました。
こうした方が、より干渉を避けられそうかな?と思い設定してみたら、
超絶安定!!(これのおかげだったのかは不明ですが)

  • 5カメが10m内に密集状態。手持ちで自由に動き回っていても全く途切れず。

  • バッテリーチェンジしても、リンクの復帰も高速。

言うことなし!って感じです。


【スペクトラムアナライザーで周波数の可視化】

Boltなどのワイヤレスビデオデバイスは、5GHz帯を使います。
5GHz帯は、Wifiや気象レーダーでも使われており、干渉しやすい周波数です。

Boltはデフォルトでは、全チャンネルにチェックが入っており、周辺をスキャンして空いているチャンネルを自動で掴んでくれます。
が、
Boltが複数ある場合、各々が周辺をスキャンしてしまうことが干渉の原因になります。

Boltの"Spectrum Analyzer"で、空いているチャンネルを可視化できます。

  • カーソルの指している所が、そのBoltが選択している周波数。

  • 上部にドットが付いている高いバーは、既に使用されている周波数。

  • バーがない部分が理想的な使用可能な周波数。

Boltの飛びが悪い場合は是非お試しください。

by KOGAMI


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