
「ほったらかし」でOKなタイムコード同期 【後編】
前編ではjam syncではTCがズレていってしまう事例などをご紹介しました。
後編では私が過去数年の撮影で、ずっと安定し、高精度な、実績のある
◯ シンプル
◯ ほったらかし
のタイムコード同期手段を紹介します。
まず、必要なのは、下記の要件を満たすUltraSync Oneといったタイムコード デバイスが必要です。
・ワイヤレス同期
・超小型軽量
・長寿命 内臓バッテリー

UltraSync Oneは、カメラと録音部で最低2つ必要です。
Bカメもあるなら、3つです。
1つをTCの基準となるマスター"Int-Gen TX (Master)"にし、

それ以外を全てスレーブ "RF Slave"にします。

全てのRFチャンネルNo.を合わせれば、UltraSync One同士がワイヤレスで、同期します。


それぞれ液晶のTCが同期し、LEDランプもグリーンの点滅も同期することで確認できます。
例:ABカメと録音部をUltraSync Oneを用いてTC同期構成
・Master →Aカメラ
・Slave →Bカメラ
・Slave →録音部(オーディオレコーダー)
それぞれのUltraSyncOneを、下図のようにカメラと録音部(オーディオレコーダー)を、FreeRun & Ext-Regenにして、常時LTC-INに繋げっぱなしにします。

※FreeRun:Recしていなくても常時走り続けるTCモードです。
※Ext - Regen:外部からTCを受け取って、走るTCモードです。
※カメラやオーディオレコーダーによってTC-INのコネクタが違います。
Ultra Sync OneのLTC-OUTはミニBNCなので、BNC or Lemo5ピン変換ケーブルなど必要です。
UltraSync Oneは内蔵バッテリー25h以上の長寿命です。
朝一番に、MasterのTCをセットしたら、ずーっと電源入れっぱなしでOKです。
これで、何しようが、常時UltraSync OneのTCに勝手に同期します。
完全にほったらかしです。
精度はどうか?
全くずれません。2017年からUltraSync Oneをずっとこのやり方で使い続けてますが、常に1フレ以内に収まりまっています。

オフライン用のデータ変換もDITの自分が担当するので、ついでに録音部の同録データをTC同期で貼り付け作業もやります。
DaVinci Resolveで1クリックでできるので、全く手間ではないです。

同系列の製品で、Tentacle Sync-EというTCデバイスもあります。
UltraSync Oneと同様の特徴を持っており、マイクも内蔵しているという優れものです。業界的にはTentacleの方がユーザー数は多いかもしれません。
個人的には使用していないので、詳細は割愛させて頂きます。

これらTCデバイスを、朝一番にカメラと録音部とで同期したら、後はほったらかしておくだけです。
映画・ドラマのようなDIT不在のケースでも撮影部・録音部だけでできます。
カメラ台数と録音部分の数が必要だから、コストがかかるのでは?
と思われるかもしれませんが、そんな高級品ではありません。機材屋さんで3000円位でレンタルできます。
※FreeRunは実時間だから、何日も撮影しているとTCが重複する。RecRunにしてTC重複しない方がいい。
という方もいます。
・RecRunはカメラが回った時しか走らないTCモードなので、録音部と同期はまず不可能です。
・TCは重複すべきではない。←これは一理ありますが、TCの重複は、画と音素材を撮影日ごとにフォルダ(ビン)分けしておくだけで簡単に回避できます。
昨今、Netflixなど素材分けのフォルダ構造は、Day1,2,3と日付ごとに分ける仕様になってます。これはその為だと考えられます。
by KOGAMI