[Tips] RED RAW(IPP2)素材を【Legacy】でRAW現像するとレンジがクリップされる
REDカメラの種類を問わず「IPP2モードで取られた素材」は
Davinciの場合【オリジナル】【レガシー】でRAW現像すると明るい「ハイライト部分」が無くなってしまいます。
特にカラーグレーディング作業ではダイナミックレンジを全て引き出すために「カラーサイエンス:IPP2」での現像をおすすめします。
残念ながら慣れ親しんだRedLogFilmともお別れです。。
(IPP2モードではRedLogFilmは選択できません)
※NUKE/Adobe AEなど他のアプリでも同症状確認できました。おそらくRED SDKに起因する現象なのでその他のアプリケーションでも同じかと思います。
IPP2とレガシーの比較
以下はレガシーとIPP2現像の比較画像と動画になります。
(HELIUM 8K素材)
左:Davinciの「オリジナル」「レガシー」で現像した場合
右:「カラーサイエンス:IPP2」で現像した場合
色域:RedWideGamutRGB
ガンマ:Log3G10
明るい被写体のハイライト部分がクリップされます。
動画ですとわかりやすいと思います。
次にNUKEでR3d形式を直接読み込みIPP2・Legacyでそれぞれリニアガンマで現像して比較します。
『Legacyで現像』し、NUKEのピクセルアナライザーで一番大きいピクセル値を確認します。およそピクセル値「7」です。
次に『IPP2で現像』してピクセルアナライザーで一番高いピクセル値を確認します。およそピクセル値「15.2」です。
リニアガンマで比較し約2倍の違いがあったので、露出でいうとLegacyモードの現像では「1段=1EV」分明るい部分がクリップされて無くなっていました。
別の素材(HELIUM 8K)でのワイプ比較です。明るい被写体の印象はかなり変わります。
RED現像設定
色域:RedWideGamutRGB
ガンマ:Log3G10
トーンマップ:ACES v1.2 ODT:Rec709
左:Davinciの「カラーサイエンス:IPP2」で現像した場合
右:Davinciの「オリジナル」「レガシー」で現像した場合
CineonLogカーブと同じ仕様で長年ポスプロ業界で親しまれたRedのガンマカーブ『RedLogFilm』ですが、現状ではREDのダイナミックレンジを再現できなくなっています。
カラーグレーディング時のRED推奨現像設定
今回ご紹介した露出の1~1.5EVの差ですが、「室内シーンの窓抜けの外」が特に白っぽくクリップしてディティールを復元出来ません。
キラキラとしたシズル表現の場合も大分印象が変わってしまいます。
作業していて「なんかおかしいな?」と思ったときはIPP2で現像されているかを作業前に確認するのをおすすめします。
「IPP2現像」の注意点
IPP2の登場と共に策定された以下の新しい色域・ガンマですが、古い現像モード「Legacy」でも選択出来てしまいます。。
色域:RedWideGamutRGB
ガンマ:Log3G10
色域・ガンマ設定は同じでもIPP2設定で現像しなければハイライトの情報はなくなってしまいます。複数アプリ・複数人での作業の場合はどちらのカラーサイエンスで現像するかまで決めておくことが重要です。
「IPP2現像」その他のメリット
Davinciの場合は
IPP2現像とUse GPU for R3D:”Decompression and debayer”
設定と組み合わせて設定すると効果的です。体感できるほど反応スピードが向上します。実際GPU使用率も30%ほどから70-90%くらいまで上がります。
ぜひお手元の環境でお試しください。
written by kuboe